配当リスクとは オプション取引においてコールの「売りポジション」を保有している場合、特にそのオプションの原資産となる現物株式・ETFが「配当落ち日」を迎える際に、権利行使(権利割当て)されるリスクのことです。
1.なぜリスクになるのか 配当を受け取るためには、「配当落ち日の前日」までに株式やETFを保有している必要があります。このため、コールオプション買い建玉の保有者は配当を受け取る目的で、早期権利行使する場合があります。 このとき、コールオプション売り建玉の保有者は、権利割当てによって持っていた株式・ETFを売却する義務が発生し、当該株式・ETFを保有していない場合は売りポジション(空売り)の状態になることがあります。
配当落ち日以降に空売り状態で株式を保有していると、配当相当額の支払いを肩代わりする必要が生じる為、これが「配当リスク」となります。
<具体例:投資家Aのケース> ABC株 2021年3月5日 $130コール1枚売り ABC株 2021年3月5日 $135コール1枚買い(スプレッド) 配当落ち日:2021年3月3日 配当額:$0.50/株(100株単位で$50)
この場合、配当落ち日前日の3月2日より前に早期権利行使されるリスクがあります。 権利行使をされた場合、強制的に100株の売り(空売り)が必要となりますが、配当落ち日にそのまま空売りのポジションを保有していた場合、投資家Aは配当相当額($50)を支払う責任を負うことになります。
2.配当リスクを回避するには オプションを通じて取引する株式やETFの「権利落ち日」を確認する。 - 権利落ち日付近でのオプション売りを避ける。
- ヨーロピアン型オプションの利用
アメリカン型オプションはいつでも権利行使が可能ですが、ヨーロピアン型オプションは満期日にしか権利行使できない為、配当リスクが軽減されます。 ただし当社のオプション取扱銘柄のうち、ヨーロピアン型を選択できるのは指数オプションのみです。 権利落ち日前に売りポジションを買い戻す(またはすべて解消する)ことで、権利割当てや配当支払時のリスクを回避できます。
3.その他の注意点 一部の銘柄では、突然配当の発表がある場合もあり、事前に察知することが難しいことがあります。最新に情報は当社ホームページに掲載しております。詳しくはこちらをご参照ください。
4.ポジションの強制決済について 配当リスクがあるポジションを保有しており、かつ、オプション口座に配当相当額を支払えないリスクがある場合、当社の判断で該当ポジションを事前通知なく強制決済することがあります。 強制決済を避けたい場合、あらかじめご自身でポジションの調整や、オプション口座内に必要な米ドルを用意していただく必要があります。 |