はじめての方へ
商品
サービス
ツール・アプリ
マーケット情報

「日本をもっと前へ」。マネーフォワード辻社長が描く、この国の成長シナリオ

失った30年を経て目指す姿とは

(※本記事は2023年1月23日に「東証マネ部!」で公開された記事の転載です)‌

この国の市場や経済に成長可能性はあるのか。いわば投資における“日本の未来”を有識者が占う連載「日本経済Re Think」。今回お話を聞いたのは、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介氏。

マネーフォワードは「お金を前へ。人生をもっと前へ。」をミッションに、日本のスタートアップを牽引する存在へと成長してきた。その創業者である辻氏は、日本の未来にどんなことを感じているのか。そして、日本経済を前へ進めるために、何が必要だと考えるのか。

ここ30年の敗因と、それを克服する「兆し」

バブル崩壊後の30年は、「失われた30年」ではなく「失った30年」であるー

これは経済同友会が2022年10月に発表した提言に盛り込まれた言葉だが、辻氏はこの見解に共感を示す。30年の結果は日本企業の経営者の責任であり、真摯に反省しなければならないと。

ではその状況を生んだ要因は何だろうか。辻氏は「ひとつは成長分野へのリソースの移行が遅れたこと」という。

「リソースというのは、ヒト・モノ・カネのすべてです。これらは成長性の低いところから高いところへと移行するのが重要ですが、日本はいずれも硬直化や流動性の低さから移行が遅れてしまったのではないでしょうか」

ただ、この点については良い兆しが出ているという。たとえばカネの面では、この10年でスタートアップエコシステムが大きく成熟し、若い企業に資金が流れやすくなった。ヒトにおいても、働き方の価値観が変わり転職は一般的に。「ヒト・モノ・カネ、さらには情報が流動するようになり、リスクを取ろうというところにマーケットが生まれて、そこにリソースが流れ込むようになってきた」と話す。

そういった兆しに加え、未来を考える上で日本にはいくつかの“強み”もあるという。たとえば今後、労働人口が減る中で海外の優秀人材を獲得することも必要になる。その点で日本の住環境の良さはメリットだ。

「日本は食事もおいしくインフラのレベルも高く安全で、住むには非常に良い国です。弊社もエンジニア組織の4割弱がNon-Japaneseですが、みな『日本は良い国』だと言いますね。これだけ住環境が整っているのは大きいですし、今後、海外から優秀人材に来てもらうために国も力を入れたほうがいいでしょう」

国としての安定感が相対的に高いのも日本の強みだ。2022年はロシアのウクライナ侵攻など、予想もしなかった政治的な動乱が起きた。米中対立なども深刻になりつつある。その中で「日本は政治的に“想定外のことが起きにくい”という意味で安定している国」だと辻氏。資産の保全や権利も法で保護されており、自分の資産を預ける国としては抵抗が少ない。

さらに、円安も日本に追い風だと辻氏は考える。製造業をはじめ、海外でモノ・サービスを売る企業は業績アップにつながり、これによって賃金も上がれば「長年苦しめられてきたデフレスパイラルから脱却できる可能性も」と先を見据えている。

加えて、この国には今後成長を見込める産業もあるという。同社の領域であるDXもそのひとつ。「たとえば中小企業のクラウド会計の浸透率はまだ30%前後となっており、かなりの成長余地があるでしょう」と辻氏。そのほか、デジタル庁の創設やインボイス制度の導入などもふまえると「DXは確実に進み、しばらくこの領域は伸びていくと考えています」と話す。

GDPが減っていく中で、日本企業に必要な行動とは

強みがある一方、これから日本が成長していくためには「企業のグローバル化も大切」と辻氏。その根拠になるのが日本のGDP推移だ。

内閣府公表のデータによると、世界のGDPに占める日本の割合は、1995年に17.6%まで上がった後、2010年には8.5%となった。先日発表された2021年の名目GDPでは、世界の約5%となり、比較可能な1994年以降で最低の数字だった。

さらに国際機関の予測では、2040年には3.8%、2060年には3.2%まで低下すると考えられている。

「これらをふまえると、企業は海外に出て外貨を稼ぐことが重要になるでしょう。メルカリやスマートニュースのように海外へ進出する企業も出ていますし、ビジョンや圧倒的なリーダーシップを持つ経営者も増えている。海外に出る動きは期待できるのではないでしょうか」

そのほか投資の観点では、日本経済が成長するために何か思うことはあるだろうか。辻氏は「まず僕ら企業が頑張って株価を上げることが大事」と前置きした上で、「NISAやiDeCoのように、個人投資家が投資しやすい仕組みを作ることも大切」だと話す。

「2000兆円といわれる個人の金融資産をどう投資に持っていくか。そのためには、個人の投資に強いインセンティブをつけることも考えられるでしょう。貯蓄が投資に行けば、回り回って日本経済が良くなりますから」

この話の流れで出てきたのが、マネーフォワードに投資する投資家の内訳だ。実は同社への投資は45%を海外機関投資家が占める。個人投資家は9%ほどにとどまるという。「もっと個人投資家の方から投資される企業になりたいですし、創業から時価総額が伸びてきた中で、日本の個人投資家の方にもっと投資先として認知してもらいたい」と気持ちを述べる。

自分のお金が社会の変化につながるのが株式投資

ここまでは経営者として、とりわけ上場企業のトップという立場で語ってもらったが、最後にあえて“個人投資家の視点”に立ったとき、「日本に投資する意義」を挙げるならどんなものだろうか。

辻氏にそんな質問を投げかけると「まず教科書的な話をするならば、さまざまな地域に分散投資をすることが大切。一定の割合は日本に割くのが重要だと思います」と話す。

ただし、日本に投資する意義はそれだけではないという。

「投資では、自分に近い会社や応援したい会社、共感する会社に中長期でお金を投じるのも良いと思います。その意味では、日本に住む人にとって日本株が一番イメージしやすいですし、情報も集めやすいですよね。子育て世代の人なら、育児のサービスを頑張っている日本の会社に投資するということもあるでしょう」

辻氏は「自分のお金が社会を変化し得ることにつながるのが株式投資」だという。だからこそ、「どんな社会にしたいか、社会をどう変えたいか。その思いをもとに企業に投資するのもいいのでは」と思いを述べる。

「お金を前へ。人生をもっと前へ。」。このミッションを合言葉にマネーフォワードを経営してきた辻氏。起業したときも、胸には「日本を何とかしたい」という思いがあった。そんな彼が語った、この国のこれから。日本を前へ進めるヒントは、彼の言葉のどこかにあるかもしれない。

(取材・文/有井太郎 撮影/森カズシゲ)

※記事の内容は2022年12月現在の情報です

提供元「東証マネ部!」

0
0
0
本説明に含まれる内容はお取引の参考となる情報の提供を目的として作成したものであり、金融商品取引を行うに際しての投資助言、推奨、または勧誘を構成するものではありません。また、本情報は外部のソースを基にしており、その内容については万全を期しておりますが、その情報の正確性、完全性について当社が保証するものではありません。 すべての投資商品にはリスクが含まれています。投資商品の価値およびそこからの収益は上昇または下落することがあり、その投資資金の一部または全部を失う可能性があります。また、信用取引・オプション取引・先物取引の利用においては、委託保証金の差し入れが必要となり、価格変動等によっては差し入れた保証金以上の損失が生ずる恐れがあります。本ウェブサイトは、一般的な情報提供を目的としており、個々のお客様のニーズ、投資目的および特定の財務状況を考慮していません。お客様におかれましては、金融商品取引を行うに際しては、契約締結前交付書面等の書面の内容を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、手数料及びリスクの存在等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の判断と責任で行っていただきますようお願いいたします。 本ウェブサイト中の見解は作成時点での市場データ及び予測をもとに構成されておりますため、今後の経済動向や市場環境の変化、さらに金融取引手法の多様化に伴う変化などに対応し、予告なく変更される場合があります。 本ウェブサイトに記載されているすべての著作権は、当社に帰属します。当社の事前の承諾なしに、本ウェブサイトの内容の全部または一部を使用(引用、複製、転載、転記等)しないようにお願いします。 本ウェブサイトからハイパーリンクやバナーにより他社が運営管理するウェブサイトに移動される場合、移動先のウェブサイトの内容またはそれらをご利用になったことにより生じたいかなる損害について、当社は責任を負いかねますので予めご了承ください。
レッスンリスト
1
金融入門者向けの本って、見つけづらい…? はじめて学ぶお金の話
2
週間市場分析:S&P 500とVIX指数の動向と注目銘柄
3
株主優待とは?メリットや注意点、銘柄選びのポイントを解説
4
決算発表シーズンの取引に役立つツールは何でしょう?
5
耐久財受注
6
銘柄コード
7
世界の市場にアクセス!チャート分析革命 TradingView ~小次郎講師おすすめの"必須機能"その①
8
「推し」に忙しいオタクの皆さん、お金の増やし方を学びませんか?
9
バイサイドアナリスト
10
エージェント
11
初めての投資
12
投資のどんなところに関心がある? 投資に踏み切れない理由は?
13
10代のための「経営」入門におすすめ
14
日本の金融の歴史と未来についての理解が深まる本
15
安定配当株
16
決算発表シーズンとはいつのことでしょう?
17
成田悠輔が考える、日本の投資に必要な「企業推しの文化」
18
「投資は自分の資産のためにするもの」というイメージを覆す名著
19
株主優待のもらい方を4ステップで理解する!注意点についても解説
20
脱炭素と経済成長を両立するために「カーボン・クレジット市場」が果たす役割
21
成行注文
22
投資や資産運用について相談できる?
23
売買タイミングを可視化 神藤足で銘柄分析〜インジケーターテンプレート・フラグの活用法も!〜【ひろこのトレビューTV#05】
24
「眠れる労働力」に光を。ポピンズ轟社長が考える、日本の成長戦略としての女性活躍
25
流動資産
26
単元未満株
27
米国株オプション投資成功への道(3月14日 志村暢彦)
28
TradingViewのWebhook機能活用事例~トレーディング環境を簡単に構築可能【ひろこのトレビューTV#11】
29
この世の「戦略」を理解できるようになる一冊
30
株式取引における資金管理
31
経済の勉強をするモチベーションが上がる一冊
32
東証によるカーボンニュートラル推進。「カーボン・クレジット市場」がもたらすもの
33
学校で子どもにお金のことを教えるのはアリ?
34
短期から長期まで様々な分析を駆使〜スクリーナーや出来高フットプリント、同業種比較まで〜【ひろこのトレビューTV#06】
35
動物性原材料は一切ナシ。改良を重ね続けた「ゼロミート」が人気
36
投資を人にお勧めしたい?
37
シャープ・レシオ
38
FOMC会合およびフェデラルファンド金利
39
指値注文
40
株式分割とは?
41
確定申告に苦しむ個人事業主こそ、必読の一冊
42
ポートフォリオの構築方法
43
債権保有者
44
2025年1月の米国決算発表動向
45
レディマクベス戦略
46
学校でお金のことを教わった?
47
決算発表シーズンに注目すべきこと
48
S&P 500®月例レポート(2025年7月配信)
49
「日本型モバイルオーダー」を突き詰めて誕生したトレタO/X
50
企業の「お金の使い方」について、ざっくり学べる本
51
グレーナイト
52
社内番組にほめシャワー。企業が行ったコロナ禍の「コミュニケーション活性化」
53
米国株信用取引
54
成長株とは?
55
トレーディングビューのWebhook機能活用事例〜webhookでアラートをDiscordに送る〜【ひろこのトレビューTV#13】
56
株主優待はいつ届く?株式取得しても優待が届かないケースも紹介
57
サンタクロースラリー
58
模擬売買を使いこなせ!リプレイモード徹底研究~トレード上達のためにトレード記録とプラクティスを【ひろこのトレビューTV#10】
59
世界初の上場を果たしたドローン専業メーカー「ACSL」。目指すのは人の苦役を無くすこと
60
読めばどの株を買えばいいか分かってくる? 
61
財務諸表
62
どのように決算トレードを行いますか?
63
S&P 500®月例レポート(2025年8月配信)
64
分かった方がいいんだろうけど、勉強せずにいた「決算」に手をつけたいあなたへ
65
アーリーリタイアしたい?
66
生産者物価指数
67
「投資・資産運用」について学んでいますか?
68
チャンスが広がる!米国株24時間取引
69
スペースマン
70
私たちは人型をあきらめない。日本の“パイオニア”川崎重工が見据えるロボティクスの未来
71
週間市場分析:S&P 500とVIX指数の動向と注目銘柄(2024年11月4日週)
72
経済ニュースがわかるようになる参考書
73
データで検証!一般消費財セクターETFの最適な投資タイミング
74
週間市場分析:S&P 500とVIX指数の動向と注目銘柄(2024年10月28日週)
75
週間市場分析:S&P 500とVIX指数の動向と注目銘柄 (2024年10月21日週)
76
レベル2気配値から何がわかるでしょうか?
77
ポートフォリオ投資
78
コオロギが地球を救う? 無印良品の昆虫食が生まれたストーリー
「日本をもっと前へ」。マネーフォワード辻社長が描く、この国の成長シナリオ
80
投資ってどんなイメージ?
81
山中さんのテクニカル分析法公開!最大の優位性はファンダデータ〜ニュース、イールドカーブなど新コンテンツも続々追加!【ひろこのトレビューTV#04】
82
取引の準備をする
83
S&P 500®月例レポート(2025年6月配信)
84
主流は“人型ロボット”ではなく「単機能」。ロボティクス・ドローンの最前線
85
ホワイトナイト
86
ドローンで農業は飛躍的に進化する。オプティムが目指す「第4次産業革命」
87
作りたいのは「よりおいしい魚」。マルハニチロが挑む2つのフードテック
88
キッカー
89
投資は危険なのでしょうか?
90
ベンチャーキャピタリスト高宮慎一氏に聞いた『「日本株式会社」として、成長のために起業家魂を取り戻せ』
91
子どもに投資させたい? 投資の話はする?
92
あなたのポートフォリオの利益パフォーマンスを評価する方法
93
「カップヌードル」生みの親の精神は、培養ステーキ肉に受け継がれている
94
「お金」にまつわる知識を網羅してくれる最強の金融入門書マンガ
95
成功体験こそが、失敗の原因になる?
96
S&P 500®月例レポート(2025年5月配信)
97
ポートフォリオとは何でしょう?
98
独自の取引戦略を立てる
99
シニフィアン朝倉祐介氏が語る「『資本主義の徹底』が日本のスタートアップを飛躍させる」
100
2つのリスクカテゴリーの紹介
101
金融リテラシー調査から見えた「若者の投資の考え方」
102
ゾンビ企業
103
株式取引における感情の管理
104
お金に関する不安はある?
105
日本は内視鏡AIで勝ち目あり。「デジタルヘルス」の輪郭とこれからの見込みを探る
106
YEN蔵流オシレーター&ピボット活用の実践テクニカル分析【ひろこのトレビューTV#03】
107
ユニコーン
108
EPS・一株当たり純利益
109
レベル2気配値はどのように取引の役に立つのでしょうか?
110
【ひろこのトレビューTV#07】やってみよう!TradingViewのペーパートレーディング~プロップハウスでも実際に練習で活用!
111
「日本はこれから繁栄の30年サイクルに」。渋澤健が語る、日本再興につながる「面白い宿題」とは
112
エンジェル投資家
113
逆指値注文
114
投資を始めるにあたって「目標を立てること」が大切な理由
115
描画&アラートのTipsも!リプレイ機能で経験値を積む〜スマホでも便利なトレーディングビュー〜(女優・投資家 陽和ななみさん)
116
消費者物価指数
117
Nasdaq BasicとNasdaq TotalView
118
新機能も続々追加!季節性&アラートの便利な活用法〜スクリーニングから一括でウォッチリストへ〜
119
貯蓄と投資の違い
120
「日本ほど好条件のそろったマーケットは少ない」。大和総研・神田慶司氏は日本経済をどう見る
121
「会計」を勉強したいときは、まず歴史の豆知識から!
122
日本人の金融行動を測る「金融リテラシー調査」の結果を見る!
123
お金をどのぐらい投資に回す?
124
ISM製造業指数を理解する
125
投資にはどのようなタイプがあるか?
126
両替方法(円 → ドル)
127
ブローカー・ディーラー
128
2ヘクタールを150秒で処理。コマツの「ワオ!」を探求する姿勢から生まれたドローン測量
129
「時価総額上位の顔ぶれは今後20年で大きく変わる」。藤野英人が日本市場に期待する理由
130
高配当で話題の“カバードコールETF”とは? ~特徴と運用術を徹底解説!~
131
株式とは何か?
132
京セラの「メタバース展示会」が話題。きわめて実用的な仮想空間の使い方
133
週間市場分析:S&P 500とVIX指数の動向と注目銘柄 (2024年11月25日週)
134
取引を監視する方法
135
GDPと株式市場
136
「お金」の勉強はどうやってする?
137
ブロックトレーダー
138
データで検証!金融セクターETFの最適な投資タイミング
139
「日本は過小評価、ここから成長が始まる」起業家・成田修造が見据えるこの国の未来
140
アクティビスト
141
ニッチなニーズにも対応!日柄観測ツールと表示テクニック~フィボナッチ、アストロから応用まで~(アセンダント代表 山中康司さん)