あなたの投資戦略はシンプルかもしれません。それは、魅力的な収益性、成長性を持っていたり、配当利回りが高かったりする優良企業の株を買うことでしょうか。あるいはリスクを分散するために、口座に複数の株やインデックスファンドを保有すること。いわゆる「卵は一つのカゴに盛るな」という格言にしたがった分散投資のアプローチでしょうか。
オプション取引を始めようと思っても、オプションチェーンのページをスクロールしてみると、混乱してしまうかもしれません。あるいは、オプションのページに偶然アクセスした時、これはプロのトレーダーしか利用できないものだと思い、結局、そのページを閉じたことがあるかもしれません。
ここでは、コール・オプションのしくみについて詳しく説明していきます。もしかしたら、あなたの考えも変わるかもしれません。

このような状況になったことはありせんか?
コール・オプションを買うことで、口座に少額しかなくても、値がさ株への投資ができることをあなたはご存知ないかもしれません。
コール・オプションは、指定された価格で100株を買う権利をその買い手に与えますが、買わなければならないという義務はありません。コール・オプションを購入するということは、100株を直接購入するのではなく、単にその株式100株を取得できる権利を購入しているだけなのです。
例えば、ABC株が現在157.35ドルで取引されているとします。ABC株を100株購入する場合、合計1万5735ドルがかかります。しかし、ABC株をコール・オプションで購入する場合、投資金額は大きく異なります。
オプションは通常100株を1単位として取引されます。
例えば、ABC株の権利行使価格155ドルのコール・オプションのプレミアム(オプション料)が6.08ドルの時、100株の権利を得るには608ドルかかります。コールの買い手は、このコール・オプションを取得するために、プレミアム(オプション料)として608ドルを支払うことになります。
さらに、権利行使日にイン・ザ・マネー※の状態でコール・オプションを行使すると、その投資家はABC株100株を取得することになります。そのため、1株あたりの平均コストは161.08ドル(=155ドル + 6.08ドル)となります。
(※コール・オプションでは、原資産の市場価格が権利行使価格を上回っている場合、その状態を「イン・ザ・マネー」、または略して「ITM」と呼びます)
「ABC 155ドル 2022年8月19日」というコール・オプションについての記述からは、2つの重要な情報がわかります。
ちなみに、満期日と権利行使価格の選択は、コール・オプションの購入において、取引の成否に影響する2つの重要なポイントです。基本情報を理解すると、コール・オプションの購入が、株式の購入の代替手段となり得ることがわかるでしょう。
しかし、オプション特有のリスクもあります。オプションの権利はいつまでも有効なわけではありません。
ABC株の株価がオプションの満期日、2022年8月19日に154ドルであったケースを考えてみましょう。
まず、株価が157.35ドルの時にオプションではなく、株式を買った投資家は335ドルの含み損(=15,735ドル - 15,400ドル、約2.1%の含み損)になります。その投資家は引き続きABC株を口座に保有しており、将来的には株価が上昇する可能性はあります。
次に、コール・オプションを購入した投資家が満期日までそのオプションを保有し続けていた場合、満期日時点では権利行使価格が株価を上回っていませんので、権利を行使する意味がありません。すると、その投資家はコール・オプションを購入するために支払ったプレミアムの100%、すなわち608ドルを失うことになります。もちろん、コール・オプションを満期日まで保有する必要は必ずしもなく、満期日までにいつでも市場で売却することもできます。
では、コール・オプションの買い手は、株価の上昇でどのように利益を得るのでしょうか?一緒に見てみましょう。
レバレッジを利用する一般的な方法の一つは、信用取引で株を購入することです。一方で、コール・オプションを利用すると、買い手は市場で株式を直接取引するより低い価格で株式を実質的に購入することができます。それはレバレッジを効かせられるということです。コール・オプションを利用することで、投資家は現在の市場価格の数分の1でより多くの株式を取得できる権利を得ることができます。
オプション取引や信用取引による株式購入の損益に対して、レバレッジがどのように影響するかを見てみましょう。ABC株の買いポジションを保有する3つの方法を比較してみます。
この場合、すべて現金で購入することになるので1万5735ドルが必要。
信用取引口座には1万5735ドルの半分の金額だけ保証金を入れることにする。つまり、レバレッジは2倍。
ただし、分かりやすくするために、買い手はコール・オプションを満期日まで保有し、取引コストは発生しないと仮定します。実際には、信用取引を利用する場合、金利がかかることは考慮に入れなければならない重要な事項ですが、説明を簡単なものにするため、ここでは省きます。

いずれの場合も、保有株の損益計算は難しくありません。また、信用取引口座は取引コストがない場合、原資産価格の動きと比較して、レバレッジのかけ方に応じ、利益と損失が拡大します(上のケースでは2倍)。保証金を利用すると、事前に必要な現金が少なくて済むため、株式をすべて現金で購入するよりも利益率、損失率が高くなります。
この様にレバレッジを活用すると、利益と損失が増幅されます。しかし、オプション取引においては、利益と損失の幅が非対称になります。
株価が180ドルに上昇した場合、権利行使価格155ドルのコール・オプションにより、コールの買い手は155ドルでABC株100株を購入できます。そのため、コールの買い手は、155ドルという低価格で株式を購入して、さらに180ドルという高価格でそれを売却することで、1株当たり25ドルの利益を得ることができます。100株で2,500ドルの利益です。このコール・オプションは当初608ドルのプレミアムを支払って購入されたため、純利益は1,892ドルになります。
一方で株価が130ドルに下落した場合、コール・オプションは満期日に価値がゼロになってしまいます。このコール・オプションを満期日まで保有し、市場で売却しなかった場合、コールの買い手はプレミアムとして支払った608ドルをすべて失うことになります。
損益をパーセンテージで見ると、レバレッジ効果をより明確に把握できます。この例では、株価の上昇率は15%未満でしたが、コール・オプションを購入することで、300%を上回る利益を得ることができました。ただし、株価が思惑とは反対の方向に動いた場合、元本をすべて失う可能性があります。
コール購入戦略は、一般に「株式代替戦略」として知られていますが、完全な代替というわけではありません。株式の代替手段としてオプション取引を始める前に、いくつか知っておくべきことがあります。
まず、コール・オプションの買い手は配当金を受け取ることができません。
また、株主は議決権を持っていますが、オプション保有者に議決権はありません。
そして、全てのオプションには満期日があります。一方、株式に満期日はなく、好きなだけ、いつまでも保有することが可能です。
最後に、株を購入する場合、特に長期保有する場合は、毎日株価を見る必要はないかもしれませんが、オプションの場合、普段はもちろんのこと、満期日が近づくと、さらに注意深く値動きを見る必要があります。コール・オプションを購入したあとは、満期日までのプレミアムの動きと、オプションの権利を行使した時に株式への転換によりどの程度の利益を得られるのかに注目する必要があります。
「株式代替戦略」としてコール・オプションを購入することができますが、株式との違いには注意すべきです。