
前の2つの数字を足すと次の数になるような数列をフィボナッチ数列といいます。具体的には0、1、1、2、3、5、8、13、21……といった具合です。そして、これらの隣り合った数字を割り算して出てくるものがフィボナッチ比率です。
このフィボナッチ比率を利用して、上昇相場での押しの目処や下降相場での戻りの目処を示すものがフィボナッチ・リトレースメント・レベルです。チャートに沿って水平に走る線として描かれ、一般的なフィボナッチ・リトレースメント・レベルは23.6%、38.2%、50.0%、61.8%、78.6%です。
フィボナッチ・リトレースメントは多くの投資家に受け入れられ、利用されています。そのため、自己実現的な側面があります。つまり、相当数の人々がフィボナッチ・リトレースメントを利用して売買していれば、価格がそこで反転する可能性があるということです。
フィボナッチ・リトレースメントは、取引シグナルを確認したり、損切り/利食いレベルを特定したりするのに便利なツールです。フィボナッチ・リトレースメントは、投資家の投資対象に応じて、どのような時間軸にも適用することができます。
フィボナッチ・リトレースメント・ツールを使って安値と高値を結ぶと、フィボナッチ・リトレースメント・レベルが表示され、相場の重要なカギとなる価格が分かります。投資家はフィボナッチ・リトレースメント・レベルを確認し、損切りや利益確定を行うことができます。
下の例では、株価は3ヵ月続いた大幅下落の後に反発しています。直近の高値となるスイングハイと直近の安値となるスイングローを結んでフィボナッチ・リトレースメントのラインを引けば、反転上昇がどこまで進むか、その戻り目処が分かります。また、これらのレベルは、株価がいったん戻りを試した後、再び下落し始めた時のサポートラインにもなります。
例えば、ある投資家が直近安値から株価が反転した少し後にロングポジションを持ったとします。そして、思惑とは逆に動いた時、損失が拡大するのを防ぐため、前回の安値である134ドルに損切りの逆指値注文を出すかもしれません。一方、フィボナッチ・リトレースメント50%の水準である154ドルに利益確定の指値注文を出すかもしれません。
その後、価格は一気に上昇し、23.6%と38.2%のレベルを突破、38.2%でいったん跳ね返されたあと、50%を一時突破するも、すぐに下降し、50%のレベルは抵抗ラインを形成します。利食い注文はフィボナッチ・リトレースメント50%レベルで約定し、価格がさらに下落する前にロングポジションが決済できました。

投資家は、フィボナッチ・リトレースメント・レベルで、売買のタイミングをはかる重要なサポートライン、あるいは抵抗ラインを見つけることができます。例えば、価格がフィボナッチ・リトレースメント・レベルをブレイクするまで待ち、その時点で強気のMACDまたはストキャスティックスのクロスオーバーが確認できていたら、買うというやり方が考えられるでしょう。
以下の例では、投資家は、ストキャスティックスの強気クロスオーバーに続き、価格がフィボナッチ・リトレースメント・レベル23.6%に到達したとき、エントリー1でロングポジションを建てることができます。2つ目のエントリーポイントは、2回目の強気クロスオーバーが形成され、価格がフィボナッチ・リトレースメント38.2%レベルを上回ったところです。

まとめ
フィボナッチ・リトレースメント・レベルは、多くの投資家が活用している重要なサポートライン、抵抗ラインです。フィボナッチ・リトレースメント・レベルと他のテクニカル指標を組み合わせて活用することで、エントリーポイントやエグジットポイントを的確に判断することができます。