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2025年1月の米国決算発表動向

志村 暢彦

米国では、2024年10-12月期の決算発表が本格化しています。

今決算発表の特徴としては、30日時点では、事前の市場予想を上回る企業の割合が多いものの、その数字は前四半期に比べて5%ポイント程、低下しています。

つまり、市場予想を未達となる(ミスする)企業が増えているということです。

また、もう一つの特徴として、発表された売上・利益自体は予想を上回ったけれど、先行きの見通しなどを受けて、株価が下落するケースも散見されます。

例えば、米国時間30日に、通信サービスを提供するコムキャスト(CMCSA)の株価は11%の下落。傘下にユニバーサル・スタジオなどを持つ同社ですが、決算実績は市場予想を上回ったものの、ブロードバンドの顧客獲得に苦戦している様子が嫌気されました。

反対に、発表された売上・利益自体はミスしたけれど、先行きの見通しなどを受けて、逆に株価上昇するケースも見られます。

例えば、米国時間30日に、テスラ(TSLA)の株価は上昇。決算ミスにも関わらず、イーロン・マスク氏の強気コメントを受けて、29日引け後の株価上昇地合いを継続。30日は2.9%程の株価上昇となりました。

この株価の反応の違いはどこから来るのでしょうか?

もちろん、先行きの見通し次第で株価が上下しているということでもあるのですが、もう一段掘り下げて言うと、『成長戦略や見通しをしっかりと示せる企業』の株価が上昇している、ということだと理解しています。

現在S&P500種株価指数の2024年の実績PERは24.8倍程度。コロナ禍に大規模緩和政策がうたれた2021年の24.0倍を上回る状況です。

2025年の予想PERは22.3倍で、2026年の予想PERは19.9倍ですが、これはつまり、1株あたり純利益が、2025年に14.9%%成長し、2026年に12.3%成長する(いずれも前年比)ことを織り込んでいるといえます。

トランプ政権下で、減税+利下げ+規制緩和+マネーサプライの拡大が行なわれる(加えて中国・欧州でも景気に配慮した政策運営が継続する)ことを踏まえているといえますが、この環境下で、時流を的確に捉え、成長ストーリーを掲げられる企業の株が買われる傾向が続きやすいと見られます。

AI革命をどうプラスに活かしていくのか、経営のプロたちの手腕が株価を左右する状況は続きそうです。

(余談ですが、企業が自社株買いに頼ってEPSを上昇させるのは、なるべく控え、設備投資に使って企業価値を上げる企業を評価したいです。日本でも、2024年は自社株買いが7割増えたという報道が見られますが、将来の成長のために設備や人材にお金をかけた方が、長期的に社会全体のためになると考えます)

米国経済全体に目を向けると、30日には10-12月期の実質GDPが発表されました。

結果は2.3%増(前期比・年率換算)ということで、市場予想の2.6%増には未達でしたが、GDPの数値を先読みするのに用いられることの多い、アトランタ連銀のGDP Nowでは、急落している様子が見られたので、下落のサプライズは限定的でした。

米国時間29日時点のGDP Nowは以下↓

(出所:アトランタ連銀)

また、中身を見ると、GDPの7割程度を占める個人消費が4.2%増と加速しており、住宅投資も5.3%増と反発していることが評価される内容でした。

国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しや、CNNによる市場参加者の恐怖貪欲を示す指数などをみても、足元の株式市場は、『過去20年でみると割高な水準にいるが、決して過熱しすぎというわけではない』と言えるし、『今後、生成AIの社会実装が進み、生産性が向上することで、割高感が解消してく』という期待を持って良いと考えます。

なお、今週はDeepSeek社による格安AI学習のショックを受け、エヌビディア(NDVA)の株価が一日で17%ほど下落する日もありました。

エヌビディアの株主にとってはショックな内容と受け止められたのだと見られますが、生成AIが社会に普及していく将来を見据えるうえでは、ブレークスルーとなり得るという見方もできます。

今後、情報保護の観点で、中国製AIの使用には慎重を期す企業が増えていくでしょうけれども、(クリーニングされたデータを使うなど、最適化の方向性を絞ることで)機械学習自体のコストは加速度的に低下させることが可能だと示す分岐点となると想定されます。

半導体チップも、超高性能なものと、汎用のもの、棲み分けがなされるということで、AIの普及に伴う、アプリケーション開発の進展や、データプラットフォームの進化が見られるはずです。

その視点を踏まえながら、米国で打ち出されたAI投資計画『スターゲート・プロジェクト』の行く末を見ていくと良いと考えます。

なお、DeepSeekショックというメディア表現がなされますが、今週の市場の変動幅はそこまで上がっておらず、1月30日時点で、1月のVIX指数の終値の平均値は16.8。

過去の大統領就任初年度(IT革命のおこった1995年以降)を抽出して見ると、むしろ例年より低いです。

(出所:Bloombergを基に作成)

過去の流れを参考にするのであれば、2月・3月に新たな『ショック』が起こっても不思議ではありません。

先の見えない(明るい)未来に向けて、多少のデコボコは許容していきたいところですが、一般的な日本人の投資家のリスク許容度がそこまで高くないのも事実です。

多少の(10-15%程度の)株価変動であれば、あまり気にすることなく、『堅実にコツコツと投資実績をあげたい』とか、『下げたところを狙って拾っていきたい』という投資家の方々には、アメリカ株の個別株オプション取引が有効です。

一般にオプション取引というと、単にレバレッジをとって投機的な投資に活用するものだというイメージを持つ方が多いのですが、保守的な機関投資家のように、オプションの満期までの間(例えば1-2ヶ月間)、株価が大きく上昇する恩恵を諦める代わりに、株式市場が多少下落しても気を揉むことなくプラスのリターンをあげる投資にも活用できます。

車で言うショックアブソーバーのようなもので、『快適な乗り心地とともに、安定した操縦性が生み出されるものだ』という感覚で捉えて頂くと良いと思います。

これもまた、日本の個人投資家が、馴染みのあるアメリカの個別企業や、マグニフィセント7のような代表的な銘柄を使ってこの投資を活用できるようになったという、大きな『ブレークスルー』です。

是非、局面に応じてしっかりと使えるようなスキル・リテラシーを得て頂くと良いと考えます。

志村 暢彦

追伸1

1月31日(金)は日経CNBCに電話出演でした。

https://online.nikkei-cnbc.co.jp/vod/56612

また、ラジオNikkei おはようマーケットでアメリカ株を活用した配当投資の考え方についてお話しています。3回シリーズで、初回が1月21日(火)、2回目が1月28日(火)でした。3回目は2月4日の予定です。(8時半頃の予定と聞いています。ラジコというラジオアプリを使用することで、リアルタイムでなくとも聴けます)

https://www.radionikkei.jp/ohayo/

個別株オプション取引を活用すると、実質的に、配当利回りを上昇させることが可能という発想で、『新・配当投資』の概念だと考えています。

追伸2

BS11の「シゴト手帖」という番組では、2月4日(火) 21:54〜22:00に、私の活動を取り上げて頂く予定です。

視聴方法:https://www.bs11.jp/corporate/howto.php

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