世界の株式市場では『想定外』を超える値動きに翻弄されてしまう投資家も増えているようです。
例えば、2月まで堅調だった韓国総合株価指数(KOSPI)は中東情勢の緊迫化を背景に、3月4日には一時11%を超える下落となり、サーキットブレーカーが発動、取引が一時中断しました。
定期的にお送りしているこちらのコラムでは、発達する取引手法や機能を上手に活用し、投資のペースや向き合い方を掴んで頂くことで、資産形成を有利に進められる投資家が増えればという想いで記述しています。
毎月のオンラインセミナー と合わせて活用頂くことで、理解が深まります。
(次回は3月18日20時から開催します)
従来のコラムでも定期的に触れていましたが、今年の株式市場は過去の傾向の調整が起こるなかで、やや特殊な動きが続いています。
S&P500種株価指数は12月以降2月まで、上下を繰り返していますが、直近数年の株価上昇を牽引してきたITセクターのうち、ソフトウエア・サービス企業の株価は軒並み下落しています。
単に『AI関連で』という意味合いで、従来の一般的な発想である『安く買って高く売ろう』を実践しようとすると、2月下旬までは苦しい状況となってきました。
次のグラフは、S&P500ソフトウエア・サービス株指数とS&P500を比べたものです。
(2024年末を100として直近3月4日までの状況を指数化しています)

ソフトウエア・サービス関連企業は、新興勢力ともいえるアンソロピック社のAI関連機能が、従来のSaaS企業を衰退させるという思惑から、2026年1月以降大きく下落しています。
株式市場全体としては、AI関連の投資を迅速に決め、早い収益化と高い利益成長(市場予想を超える成長)を示したマイクロソフトやエヌビディアのような企業であっても、決算発表後に『事実で売り』とばかりに強い売り圧力にさらされる状況にあるため、SaaS関連企業にとってはダブルパンチのような形で株価が下落してきました。
とはいえ、アンソロピック社自体も、SaaS関連企業を破滅に追いやるというよりも、むしろ共存する(彼らの機能がエージェントAIの高度化に寄与する)姿を目指していると話しているとおり、市場の懸念は行き過ぎているという見方も出てきており、2月下旬以降、ソフトウエア・サービス株指数は切り返しを見せています。
ちょうど、昨年春のトランプ関税ショックで市場全体が下落したときと同レベルで切り返しているので、『ダブルボトム』的なチャートのようになっています。
ここから本格的に切り返すのか、または揉み合いが継続するのか、予断を許さない状況となっています。というのも、
・アメリカによるイランのハメネイ師殺害と、イスラエルも含めた中東情勢の緊迫化
・アメリカ政府によるアンソロピック社のサービス使用停止
・エプスタイン問題に起因する企業経営者・要人の辞任続出
・トランプ政権の支持率低下と、秋の中間選挙に向けた予備選挙スタート
・アメリカにおけるプライベートクレジット関連企業の破綻(信用状況の悪化)
・好決算を発表した企業の株価が下落するケースが頻発
など、不確実要素が従来よりも強いからです。
中東情勢緊迫化だけを見れば、VIX指数(恐怖指数)の上昇幅を見ても、投資家が冷静に受け止めている様子が見てとれますが、多くの事象が絡み合っていて、いつ、どんな新決定が下され、新情報が明るみにでるのか、短期的には誰も予測できませんので、少なくとも3月いっぱいは方向感が出たと確信する状況には至らないという見方をしています。
以前お送りした世界有数の半導体チップメーカーであるクアルコム(QCOM)については、2月20日時点の株価は142.88ということで、シミュレーションで使用した140ドルの権利行使価格を超えて終了しました。
また、オンラインセミナーにおいては、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)を用いたシミュレーションも見ましたが、2月17日の終値133.02ドルから3月4日の終値153.19ドルまで上昇しているので、
安値で指値買いをする感覚で、現金収入(プレミアム)を受取ることを狙ったプット売りのポジションについては、プレミアムをもらって終了する(現物株の購入には至らない)確率が高まっている状況です。
『多少軟調な展開が続いたとしても、コツコツと、S&P500の長期平均リターン以上の利益をあげていく』という戦略を実践する上において、現在は使いやすい銘柄が増えている状況にあると見ています。
例えば、世界の株式投資家が注目したエヌビディア(NVDA)の四半期決算(2026年1月期)については、
・EPSが前年比で60%成長。2027年1月期は72%成長(市場想定)
・粗利率が改善し、75.2%に上昇(市場予想を超える改善)
・会社による今後の売上見通し(ガイダンス)も市場予想を超える
という状況のなか、決算発表後の2日間で、株価が9%を超える下落となりました。
言い換えれば、決算発表前よりも下値余地が限定的になった状況と見てとれます。
エヌビディア(NVDA)とS&P500を比較すると次のとおりです。
(2024年末を100として直近3月4日までの状況を指数化しています)

また、従来のコラムでも用いた、エヌビディアの株価動向に2倍のレバレッジがかかったETFである、グラナイトシェアーズ エヌビディア2倍ロングデイリーETF(NVDL)とS&P500を比較したグラフは次のとおりです。
(2024年末を100として直近3月4日までの状況を指数化しています)
参考まで、NVDLを使って保守的に現金収入(プレミアム)を獲得するシミュレーションの一例としては次のとおりです。
・銘柄:グラナイトシェアーズ エヌビディア2倍ロングデイリーETF
・オプション種別:プット
・期日:2026年4月17日(3月4日から44日間)
※期日まで決算発表日を跨がないことをお勧めします
・権利行使価格と売買区別:55ドルで売り、45ドルで買い(どちらもプット)
・所要資金:1000ドル ( (55-45) ×100株分)
※ウィブル証券におけるスプレッド取引機能の活用を前提
・計算上の期待収益率(3月4日の終値を基準):年率68%
※計算前提 55ドルプット:1.5ドル、 45ドルプット:0.68ドル
年あたり獲得プレミアム : (1.50-0.68)×100÷44×365=680ドル
単純に、プレミアムを獲得するというよりも、ウィブル証券で導入されたスプレッド取引を活用することで、使用する資金が少なくて済むうえ、株の下落からのリスクを限定的にすることが期待できます。
(あくまでシミュレーションであり、投資アドバイスではありません。投資の実践においては、リスクを十分理解したうえでご自身の判断と責任で実施ください)
詳しくはまた、オンラインセミナーでお伝えしますが、投資の初中級の方は、まずは概念を理解いただくことをお勧めします。
現在の株式市場においては、中長期の視点で目線を前方に保ちつつ、冷静に対応していきたいところです。
志村暢彦