定期的に配信しているコラムをお送りします。今回の内容はこちら⇓ 是非ご一読くださいませ。
S&P500やナスダック総合指数は今月、高値を更新する展開が続いています。
S&P500種株価指数の直近の株価収益率(PER)は24.9倍となり、私が今年の展開の目安としておいていた、20倍〜25倍の間の推移における、ほぼ上限に達する水準となっています。
流動性のほか、オプション市場や債券動向を踏まえて算出される、CNNによる「恐怖貪欲指数」も、これ以上は「極端に貪欲」と判定される75付近の水準で横ばい推移しています。これ以上の一段の上昇があったとしても、その先の反落が気になって、アクセルを踏みにくい状況と言えます。

(出所:CNN Fear and Greed Index)
足元では、4-6月期の決算発表が続いており、発表される1株当たり純利益(EPS)が事前の市場予想値を上回った企業が8割程にのぼります。
さすが、アメリカのトップ500社ともいえる企業で構成されるS&P500。不透明な市場環境でも着実に数字を作ってきている印象です。
(為替の変動という難しい要因があるとはいえ、業績を創る力や、市場との対話を繰り返して期待値をコントロールする力については、日本のトップ企業の経営者が見習うべき点があると思います)
トランプ政権は8月1日に向けた関税交渉を進め、TACOだなんだと言われながらも、見た目の数字を作り、有権者にアピールする材料を固めています。
日本との合意についても、早々に、ホワイトハウスの公式ページに掲載しました。

(出所:ホワイトハウス)
5,500億ドルの新たな日本からの投資を、ビークル(投資のハコ)を通じて行うということで、その内訳としては、年限の記載はないし、ビークルの内容も示されていないので、捉えようによっては実現の負荷を抑えることも可能かもしれません。
しかし、いずれにせよ、政府が何かを行なうというよりは、民間企業の動きに頼る部分もあるのでしょうから、評価はこれからの動き方で決まるのでしょう。
これから徐々に、関税に関する投資家の着目が弱まってきたら、次は、インフレ動向(価格転嫁)に注目が集まりやすいので、その点には継続的な注意が必要となります。
米国は利下げのバッファーが大きいことから、成長鈍化が懸念される際には利下げで対応可能となりますが、市場の下方向へのマグマがゆっくりと溜まってきていることを踏まえると良いのではないでしょうか。
そんな市況・テーマを受けて、株式市場では『長期ではポジティブ・短期ではやや慎重』という見方をする投資家が、一層増えていることでしょう。
細かな点については、7月31日に予定されているセミナーで触れていきたいと思いますが、
長期的な企業の成長余地を踏まえ、株式投資へのテンションは一定程度保ちつつ、目先の下落があっても慌てなくても良いように、投資ポジション・環境を整えておきたいところです。
ある程度、中長期目線で、保守的なコツコツ投資を前提とする方の基本的な戦略としては、プットオプションを売る『ターゲット・バイイング戦略』を柱とするところから始めることをお勧めいたします。
➀お目当ての銘柄について『下落したら買い』、下落しなくてもリターン(プレミアム獲得に伴う現金収入)を手に入れる
②今の環境であれば、売るオプションは1か月以内(満期日が近い所)にして、リターンの年率としては10-15%程度を中心に考える。(仮に株式市場が下げてきたところで、その次の行動に移れる余力を残す)
③複数の銘柄で取り組む
というのが基本的なスタンスです。
そして、
④初級者の場合は、決算発表が終わった銘柄で検討する。見た目の内容(先行きの動向)は市場想定程度なのに、株価が下落している銘柄があれば狙い目
⑤中級者以上の場合は、株価が上昇していたり、PERがいつもより大分高い銘柄で取り組むことも可能。その際は、やや長めのプットオプションをいつもより意識して高い権利行使価格で売却しつつ、リスクを抑えるため、それより期間の短いプットオプションを、低い権利行使価格で購入する
と点を意識できると、良いと考えます。
(⑤については、前回のコラムでご紹介した考え方と同様)
オプションのトレーディングを踏まえて話をしたい専門家からは、「ターゲット・バイイング戦略は、インザマネー(株価が権利行使価格を下回った場合)になったら何もできないから不利」という発言がなされることがありますが、これについては、多くの誤解を含んでいるので、初級者の方は惑わされない方が良いと考えます。
なぜなら、
➀株価がインザマネーに近づいて来たら(下落してきたら)、売却したプットオプションを買い戻して、さらに先の限月・低い権利行使価格で売却し直せば対応可能なケースが多い
②仮に購入することになったとしても、コールオプションを売る『カバード・コール戦略』を繰り返すことで、収益トントンまで持っていくことが可能なケースが多い
③複数銘柄で取り組む前提なので、仮に1銘柄が想定と異なる動きをしたとしても、資産全体に対する影響は大きくない
であるからです。
また、ベースとしてのプットオプションの売りポジションに対して、リスクヘッジのためのプットオプションの買いのポジションを加えることが可能です。
(但し、すべてのポジションにヘッジのためのポジションを加えると、リターンの水準は低下します)
いずれにせよ、プットを売る『ターゲット・バイイング戦略』は、野球でいうキャッチボール、バスケットボールでいうドリブルくらい、基本的なスキルになると考えていますし、
その仕組みを知ってしまえば、常に『安く買って高く売る』ことを目指す従来の(日本でいう一般的な)投資戦略は、いかに難しいものであるかお気づき頂けると思います。
過去、この戦略を用いた投資助言サービスとして、2022年の下げ相場、2023年〜2024年の上げ相場のいずれにおいても、安定したリターンを継続して実現しましたし、現在も実践しリターンをあげている投資家が多くいます。もしあなたが初級の投資家であったとしても、ご安心ください。
控えめに言って、現物株を普通に買うより、よほどリスクの低い、保守的な投資法になります。
前回のコラムでご案内したナイキ(NKE)の事例については、決算発表を受けて株価上昇したことから、権利行使に至らず、オプション料を受けとったまま満期を迎えました。
ヘッジのために購入していたプットオプションは、仮に売却せずにそのまま放置していたとしても、年利15%のリターン獲得となった事例といえます。(購入していたプットオプションを、株価上昇後に売却したケースにおいては、リターンがさらに高くなっていたはずです)
今回は、7月24日に発表した決算が事前の市場想定を下回るとともに、減配を発表したことで、株価が17%程下落した、化学品メーカーのダウ(DOW)について見ていきます。
景気後退の影響を免れないということ冴えない決算となり、株価が下落していますが、来期には再び黒字になり、その後も業績拡大するであろうという想定が市場ではなされています。
以下の事例の計算においては、7月24日の米国市場の引け値を使用します。(あくまでもシミュレーションの用途でのご紹介となり、投資推奨ではございません)
<価格条件>
・現物株価格:25.07ドル
・プットオプション➀価格(権利行使価格22ドル、満期日8月15日):0.35ドル
<取引例>
・シンプルなターゲット・バイイング戦略として、プットオプション➀を売却し、1単位あたり35ドルを受領
・もし、株価が続落して、権利行使価格22ドルに近付いてきた際に、現物株を購入したくなければ、プットオプション➀を買戻し(反対売買し)つつ、9月15日満期日・権利行使価格が22ドル未満のプットオプション②を売却する。
・できれば、プットオプション②でえられるリターンは、➀の買戻しのコストを上回るようにする
<➀の収益(1単位あたり)>
22日間、2,200ドルを使って、35ドルの利益(=年利約26%)
※あくまでシミュレーションのための試算としてご案内しています。6月25日の市場が空いた段階で、株価動向次第では、プットオプション➀は0.35よりも低く推移している可能性もあることから、実際の投資においては、オプション価格動向(ビットとアスク)を見ながら、指値注文することが必要です。
※初級の方に向けたシミュレーションです。中級以上の方は、プットオプションの買いポジションも想定しながら組み合わせることで、よりリスクを軽減したポジションを構築することが可能となります。
フォローアップのご質問などは、来週予定しているセミナー でも受け付け、時間の都合がつく限りご説明したいと考えています。
なお、私は現在ニューヨークに滞在しており、本日は、ニューヨーク証券取引所(NYSE)に伺うとともに、魅力的なETFを組成しているグラナイトシェアーズ社の創業者・CEOである、ウィリアム・ラインド氏とミーティングしてきました。
そのお話をふまえ、セミナー の内容を検討する予定です。
また、決算発表シーズンということで、次回コラムは、また近々お出しする予定です。お楽しみに。
良い投資を
志村暢彦
追伸
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