「プットの買い(ロング・プット)戦略」では、プット・オプションの買いのみを行います。「プットの買い(ロング・プット)」は純粋に投機で行うこともありますし、保有株の下落をヘッジする目的で行うこともあります。
プットを買えば、投資家は満期日までの期間内に、権利行使価格で株式を売る権利が得られます。プットを買ったあと、株価が十分値下がりしたとします。そうなった後、投資家はもっと高い価格で株式を売ることができるのです。ただ、このように株式を売る権利を得るために、投資家はプットを買う際、プレミアム(オプション料)を支払います。通常、1枚のプットで100株の株式を売る権利が得られます。
「プットの買い(ロング・プット)戦略」で得られる最大利益は、権利行使価格からプレミアムを差し引いた額となります。株価が0円まで下がるような事態になった場合に、この最大利益が得られます。
一方、「プットの買い(ロング・プット)戦略」で被る最大損失は、プットの買いに対して支払ったプレミアムの全額です。したがって、これには、かなりのリスク許容度が必要となります。決められた期日までに株価が一定以上下落すると予想する、弱気な見通しを持つ投資家は、「プットの買い(ロング・プット)戦略」を利用するのがいいでしょう。
1つの例を見てみましょう。
ある投資家が、EIOの株価が今後3ヵ月で下落すると予想しているとします。EIOは現在、株価10ドルで取引されていますが、権利行使価格が10ドルで3ヵ月後が満期のEIO株を原資産としたプットは2ドルのプレミアムで取引されています。ここでは、権利行使価格10ドル、満期日まで3カ月、プレミアム2ドルでEIOのプットを買ったとします。
考え得る最大利益は、権利行使価格10ドルから受け取ったプレミアム2ドルを差し引いた額に100株を掛けたものとなります。これは以下のように計算されます。
考え得る最大損失は、「プットの買い(ロング・プット)」に支払ったプレミアム2ドルに100株を掛けたものです。これは以下のように計算されます。
損益分岐点は、オプションの権利行使価格10ドルからプレミアム2ドルを差し引いた金額です。これは以下のように計算されます。
「プットの買い(ロング・プット)戦略」の満期日までの損益を下図に示します。

このグラフは、Y軸にオプションの潜在的な利益と損失、X軸にオプションの原資産となるEIOの株価を、満期日までの期間で示しています。
EIOの取引が8ドル以上のままであれば、投資家は0ドルから200ドルの間で損失を被ることになります。EIOの株価が8ドルを下回ると、「プットの買い(ロング・プット)戦略」は利益を上げ、価格がゼロになれば最大800ドルの利益を得る可能性があります。損益分岐点は8ドルで、これは権利行使価格10ドルから支払ったプレミアム2ドルを差し引いた額です。
オプションの満期日までの間にEIOの株価が10ドルを下回り、10ドルから0ドルの間のどこかにあれば、「プットの買い(ロング・プット)」の保有者はオプションを行使できます。つまり、投資家はEIO 100株を10ドルで売ることができます。
投資家が既にEIOの株式を保有している場合、その株式は10ドルで売却されます。
EIOの株式を保有していない投資家は、EIOの空売りポジション(ショートポジション)を建てることになります。ただし、空売りを行うためには、投資家は信用取引口座を開設済みで、少なくとも2000ドルの資金を持ち、さらにEIOの空売りポジションを保有するのに必要な資金を持っていなければなりません。
投資家がオプションを行使することなくEIOの株価下落から利益を得たい場合、株価が8ドルを下回ったらオプションそのものを売却して利益を得ることもできます。EIOが10ドル以上のままであれば、オプションは無価値となり、投資家は投資した200ドルを失います。