米国株式市場は、AI関連銘柄、半導体株、宇宙・防衛関連などを中心に、引き続き上昇基調を保っています。
もっとも、一本調子で上がり続けているわけではありません。強い経済指標が出れば金利上昇が意識され、半導体株や高PER銘柄に売りが出る場面もあります。一方で、AIインフラ需要や企業業績の強さが確認されると、再び買い戻しが入る展開も見られます。
つまり、現在の米国株市場は、上昇相場でありながら、適宜、健全な調整も入りやすい局面にあると考えています。
5月の段階では「AI相場と金利上昇の綱引き」と整理しましたが、6月に入ってもこの構図は続いています。AI関連投資への期待は根強い一方、FRBの金融政策、インフレ動向、長期金利、地政学リスクが、株式市場の上値を抑える材料になっています。
特に注目したいのは、ウォーシュ新議長のもとでのFRBのスタンスです。
市場では、今後もウォーシュ新議長がどの程度インフレ抑制を重視するのか、あるいは景気や雇用への配慮を強めるのかを見極めようとする動きが続くとみています。
足元では、金融政策の見方も大きく割れています。経済番組に出演する米系トップ金融機関の見解を見ても、景気の底堅さやインフレ再燃を背景に利上げ方向への警戒を強める見方がある一方で、今後の景気減速を踏まえ、いずれ利下げ方向に戻る可能性をみる声もあります。
同じ経済データを見ていても、金融政策の見方は真逆になることがあります。
これは投資家にとって非常に重要です。なぜなら、金利の方向性を正確に当て続けることは極めて困難だからです。利上げか、利下げかを一つに決め打ちするよりも、どちらの方向に動いても対応できるよう、戦略を分散しておくことが大切だと考えています。
米国株市場全体がすぐに崩れるという意味ではありません。ただし、指数全体を無条件に追いかける局面ではなく、企業業績、キャッシュフロー、設備投資負担、バリュエーション、そして金利環境を確認しながら、より丁寧に銘柄を選ぶ必要があります。
さらにいうと、想定される市場の揺れを見据えて、いかにそれを収益に変えるのか、冷静かつ最新動向を踏まえた戦略立案ができれば強いです。
今回の相場環境を考えるうえで、米国とイランの暫定合意も重要な材料です。
この合意については、まだ詳細を慎重に見る必要がありますが、投資家としては大きく3つのポイントに整理できると考えています。
第一に、原油価格への影響です。
米・イラン間の緊張が和らぎ、イラン産原油の供給回復やホルムズ海峡を巡るリスク低下が意識されれば、原油価格には下押し圧力がかかります。原油価格の下落は、インフレ懸念を和らげ、長期金利の上昇を抑える可能性があります。これは、米国株市場、とりわけ高バリュエーションのテクノロジー株やAI関連株にとっては追い風になり得ます。
第二に、地政学リスクの後退です。
中東情勢が落ち着けば、株式市場全体のリスクプレミアムは低下しやすくなります。投資家心理の改善につながり、景気敏感株やテクノロジー株に資金が戻る可能性があります。
一方で、防衛関連株やエネルギー関連株については、短期的に材料出尽くしと受け止められる場面もあり得ます。ここは単純に「平和になったから全ての株にプラス」と見るのではなく、業種ごとの影響を分けて考える必要があります。
第三に、合意の持続性です。
暫定合意は、あくまで暫定です。合意内容の実行状況、米国内政治、イラン側の対応、イスラエルや周辺国の反応によって、再び緊張が高まる可能性も残ります。したがって、原油安や地政学リスク低下を素直に好感する一方で、これをもって中東リスクが完全に消えたと考えるのは早いと思います。
米・イラン暫定合意は、短期的には原油安、インフレ懸念の後退、金利低下を通じて株式市場にプラスに働く可能性があります。一方で、合意の持続性や中東情勢の再緊張リスクは残ります。
この点は、文章だけでは少し伝わりにくいテーマでもありますので、6月18日(木)20時から開催予定のウィブル証券オンラインセミナーでも、もう少し丁寧にお話しする予定です。
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もう一つの大きな材料が、スペースXの新規上場です。
スペースXは、宇宙、衛星通信、防衛、スターリンク、さらにはイーロン・マスク氏のAI関連事業との接点も意識される企業です。上場後の株価は上昇基調で推移していますが、同時に変動幅も非常に大きくなっています。
これは、投資家にとって悩ましい状況です。
スペースXのような銘柄には、長期的な夢があります。宇宙開発、衛星通信、防衛、AI、データ通信インフラといったテーマは、今後10年、20年の成長ストーリーとして非常に魅力的です。一方で、話題性が大きい銘柄ほど、短期的には株価が大きく上下しやすくなります。
「乗りたいけれど、高値づかみはしたくない」
「長期では面白いと思うが、短期の急落には巻き込まれたくない」
「買うタイミングを待っていたら、どんどん上がってしまうかもしれない」
このように感じる投資家も多いのではないでしょうか。
こうした局面で、現物株だけで対応しようとすると、どうしても株価の上下を当てにいく投資になりがちです。もちろん、現物株を長期で保有する考え方もあります。ただ、値動きの大きい銘柄に対して、心穏やかに向き合いたいのであれば、オプションを絡める考え方は非常に有効です。
たとえば、株価が大きく上がるか下がるかを一つに決め打ちするのではなく、「この価格なら買ってもよい」「この水準までは下がりにくい」「この期間であれば、一定の範囲で推移しそうだ」といった前提を置き、価格、時間、リスク量を設計することができます。
オプション取引では、相場の変動幅が大きくなるほど、プレミアムも厚くなりやすくなります。もちろん、その分リスク管理は重要です。ただ、最大損失をあらかじめ把握し、無理のない資金量でスプレッド取引などを活用すれば、相場の揺れを単なる不安材料ではなく、投資機会として捉えることができます。
スペースXについては、今後、初回決算、ロックアップ解除、指数採用の有無、オプション市場の流動性、スターリンクの成長、国防・宇宙インフラ関連の契約動向など、注目すべきイベントが続きます。
現物株で大きく取りに行くのか。
押し目を待ちながら、オプションでプレミアム収入を狙うのか。
上値を追いかけず、一定の価格帯を想定してリスクを抑えるのか。
同じスペースX関連投資でも、取り得る戦略は一つではありません。
このあたりも文章だけではイメージしにくい部分がありますので、6月18日のウィブル証券オンラインセミナーで、具体的な考え方を交えながらお話ししたいと思います。あわせて、今後のイベントや、関連テーマへの投資機会についても触れていく予定です。
足元の株式市場では、見るべき材料が非常に多くなっています。
AI関連株は引き続き強い。
半導体株も押し目では買いが入る。
スペースXのような大型新規上場銘柄には資金が集まる。
一方で、金利、インフレ、地政学、原油、金融政策の見通しは、相場を大きく揺らす材料になります。
こうした局面で大切なのは、方向性を一つに当てにいくことではありません。
株式投資では、どうしても「上がる銘柄を当てる」ことに意識が向きがちです。しかし、それぞれの銘柄で『安く買って高く売る』ことを目指し、当て続けることは極めて困難です。同じ内容の情報が出たとしても、時として売られ、時として買われるのが株式市場の常だからです。
だからこそ、銘柄の分散、業種の分散、時間の分散、そして投資手法の分散が重要になります。
AI関連株を一括りに見るのではなく、半導体、クラウド、メモリー、ネットワーク、電力、冷却、データセンター、防衛・宇宙インフラなど、AIを支える領域に分けて考える必要があります。また、現物株だけでなく、オプションを活用することで、相場の上下そのものを収益機会に変えることも可能になります。
前回5月のセミナーでお送りしたエヌビディア(NVDA)やロッキード・マーチン(LMT)のシミュレーション事例については、現在はいずれも程よいOTM(アウト・オブ・ザ・マネー)の状態で、もちろん楽観は禁物ですが、シミュレーションの満期日が6月18日なので、目線を次に移したいところです。
(余談ですが、6月19日金曜日の米国株式市場はジューンティーンス(奴隷解放記念)に関連して休場です)
オプション取引は、このように『何もしない時間』も収益に変えられる点が大きな魅力です。
また、日本の利上げにもかかわらず円安傾向が継続しています。オプション取引の証拠金については、ウィブル証券が提供するMoneybullの機能を活用し、米ドル金利を受け取ることで、全体の収益機会を補完する考え方もあります。
スペースX(SPCX)(社名はSpace Exploration Technologies Corp)への注目は今後も高い状況が続きそうですが、同社の足元の収益はスターリンク(衛星通信)やAI向け計算能力の提供に拠るところが大きいです。
あくまでシミュレーションですが、一例としては以下の通りです。
・直近価格:201.8ドル(6月16日引け時点)
・オプション種別:プット
・期日2026年7月17日(6月16日から31日間)
・権利行使価格と売買区別:150ドルで売り、140ドルで買い(どちらもプット)
・スプレッド幅:1,000ドル ( (150ドル-140ドル) ×100株分)
※ウィブル証券におけるスプレッド取引機能の活用を前提
・満期日に株価が150ドル以上となる際の収益率(6月16日の終値を基準):年率200% (税引前・単純年率換算)
※計算前提 150ドルプット:5.30ドル、 140ドルプット:3.60ドル
年換算した場合の獲得プレミアム金額 : (5.30-3.60)×100÷31×365=2001ドル
・最大損失の目安:1,000ドルから受取プレミアム(170ドル)を差し引いた金額
※本記載はあくまで情報提供を目的としたものであって特定の銘柄の取引を推奨するものではありません。
同銘柄は、個人投資家が参戦している比率が一般的な銘柄よりも高いことに加え、イーロン・マスク氏の意向が色濃く反映可能な環境にあるため、変動幅が大きくなりやすい特徴があります。
同銘柄のオプションの限月は、現状では6月18日の次が7月17日、その次が8月21日と、月1回の満期日ですが、スプレッド取引を活用することで、リスクを限定しながら投資の収益を積み上げていくことを狙えます。
志村暢彦