ETFと株式、この2種類の金融商品には共通点が少なくありません。しかし、株式を評価するのとまったく同じ方法でETFの流動性を評価することはできません。特定の銘柄の発行済株式数は増資などによって増えることもありますが、それは頻繁にあることではなく、日頃から自由に個別株の発行済株式数を増やすことはできません。
一方、ETFはマーケットメーカーに指定された金融機関が市場価格を純資産価値に近づけようとする取引を行う関係で、普段から発行済受益権口数が増減することがあります。こうした動きがETFの流動性を高めています。

金融市場で「流動性」と言えば、それは現金化のしやすさ、取引のしやすさのことを意味します。
流動性が高ければ、投資家は注文成立までに時間がかかったり、思わぬ価格で約定したりすることを心配することなく、注文を出すことができます。
株式取引では、市場に出回っている株の数に限りがあります。1000株を売る成行注文を出したとしても、1000株を買うのに十分な注文が市場に出ていなければ、売り手は売り注文を約定させることができないのです(部分的に約定する場合もあります)。
一方、ETFの取引が株式の取引と異なる点は、マーケットメーカーの存在が大きいことです。市場で買い注文(需要)が売り注文(供給)を上回ると、マーケットメーカーの介入により、新しいETFが設定されます。逆に、買い注文よりも売り注文の方が多い場合、マーケットメーカーは市場からETFを購入します。このようにマーケットメーカーによってETFの需要と供給のバランスは保たれ、流動性が高まり、純資産価値に近い市場価格がつくようになっているのです。
日々のETFの出来高を見れば、それがそのETFの流動性を最も端的に表すものになります。さらに他の要素も照らし合わせて確認すると、そのETFの流動性をより確実に評価できます。
ビッドとは、買い手が買いたいと思う価格のことを言います。ETFを買うために値段を指定した指値注文を出した場合、その注文価格が最新のビッドとなります。
これに対し、アスクは、売り手が売りたいと思う価格のことを言います。ETFを売るために値段を指定した指値注文を出すと、その注文価格が最新のアスクになります。
ビッドとアスクの差は「スプレッド」と呼ばれます。一般的に、スプレッドが小さいほど流動性が高いと言えるでしょう。
ETFの純資産価値(NAV)とは、そのETFが実際にどれだけの価値を持っているかを示します。
市場で取引している投資家の動きによって、ETFは買い需要が過多になったり、売り需要が過多になったりします。そのまま放っておくと、市場価格と純資産価値が乖離する現象が起きますが、マーケットメーカーに指定された金融機関が需要と供給のバランスを取ろうとして、ETFおよびETFに組み込まれている原資産(株式など)を取引し、市場価格を純資産価値に近づけようとしています。
結局、流動性の高いETFは純資産価値に近い価格で取引されるのです。
前述の通り、ETFに組み込まれている株式などの原資産はマーケットメーカーによってETFの需要と供給のバランスを取るために売買されています。したがって、原資産の流動性が低い場合、そのバランスが取りにくくなり、ETFの株式は取引時間中にうまく調整されない可能性が高まります。ETFは基準価額に対して割安な価格、もしくは割高な価格で取引される可能性が高まるということです。
つまり、原資産の流動性が高ければ高いほど、ETFの流動性は高くなります。
ビッド・アスク・スプレッド(買い指値と売り指値の価格差)が広い場合、投資家が成行注文を出すと、予想外の価格で注文が確定してしまう可能性があります。これに対し、指値注文では、約定価格をコントロールすることができます。指値注文は、買い指値注文であれば、指定された価格、またはそれ以下の価格でのみ約定します。売り指値注文なら、指定された価格、またはそれ以上の価格でのみ約定します。
流動性の低いETFを取引する場合、成行注文よりも指値注文を使った方が良いでしょう。