4月のS&P500種株価指数(以下、S&P500)は前月末から10.4%の大幅上昇。また、5月に入っても上下を繰り返しながら高値を更新し、S&P500、ナスダック総合指数ともに最高値圏で推移しています。
5月6日の株式市場では、半導体大手のAMDの良好な決算と業績見通しをきっかけにAI半導体株が続伸。AI関連企業を中心とする企業業績の強さが確認されました。また、中東情勢への警戒がやや後退し原油価格が下落したことも相場を後押ししています。
短期的には、投資家のリスク選好が回復したばかりか、FOMO( Fear of Missing Out 、投資機会を逃すことへの懸念)から、本意ではないながらも市場に追随せざるを得ない投資家もいるように見受けられます。そういった意味では、市場にやや歪みが出ている面もあるといえます。
今は市場全体の上昇の波にかき消されている状況ですが、ふとしたきっかけで大きな調整が入る余地は常に踏まえておきたいところです。
2026年1-3月期の主要企業決算が概ね出揃ってきましたので、米国時間5月6日時点における状況・ポイントを以下に整理します。
2026年1-3月期決算で最も重要だったのは、AI需要が減速しているのではなく、むしろクラウド、半導体、メモリー、ストレージ、データセンター、電力インフラへ広がっていることが確認された点です。
アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)では、AI需要がクラウド売上や受注残の拡大として表れました。アルファベットはGoogle Cloudの高成長、マイクロソフトはAzureとAI関連収入の拡大、アマゾンはAWSの再加速が確認され、AI投資が実際の企業業績に結びつき始めています。
また、AMDの良好な見通しをきっかけに半導体株が買われたように、市場は引き続きAIインフラ需要の強さを評価しています。AI相場は終わったのではなく、GPUからクラウド、メモリー、ストレージ、電力といった周辺インフラへ広がる段階に入っていると考えています。
今回の決算で明確になったのは、AI投資そのものが評価される局面から、その投資をどれだけ早く売上、利益、キャッシュフローに変えられるかが問われる局面へ移ったことです。
アルファベット、マイクロソフト、アマゾンは、クラウドや検索、エンタープライズ需要を通じてAI投資の回収経路が比較的見えやすい企業です。一方、メタは広告事業が非常に強いにもかかわらず、設備投資見通しの引き上げが嫌気されました。これは、AI投資の規模だけでなく、投資回収の見え方が株価反応を左右していることを示しています。
その意味で、AI相場は「投資額の競争」から「回収力の競争」へ移っています。今後は、AIという大きなテーマの中でも、実際に売上・利益・キャッシュフローへ結びつけられる企業が選別される局面になるとみています。
市場全体は強いものの、個別銘柄では株価反応に大きな差が出ています。好決算を発表しても、ガイダンスが市場期待に届かなかったり、設備投資負担やコスト増が意識されたりすると、株価が下落するケースも見られます。
たとえば、防衛関連のRTX(RTX:旧レイセオン)やロッキード・マーチン(LMT)などは、1-3月期決算そのものは堅調でしたが、ガイダンス、投資負担、防衛予算の持続性などが意識され、株価は素直に買われませんでした。これは、防衛関連株が悪いというより、好材料がすでに織り込まれていた場合には、良い決算でも売られることがあるということです。
現在の米国株市場は、強い上昇相場でありながら、銘柄ごとの期待値管理が非常に重要な局面です。したがって、現物株を焦って買うだけでなく、どの銘柄を、どの価格で、どのリスク量で保有するかを設計することが重要です。高値更新で「買い遅れ」を焦る局面であったとしても、オプションを活用して時間と価格を味方につける投資手法の重要性が一段と高まっていると考えています。
今回のコラムではミクロ面を中心に整理しましたが、実際の投資では、マクロ経済環境や為替、金利動向も踏まえながら、いかに安定的に収益機会を積み上げていくかが重要です。
こうした点について、5月も定例のセミナーでお話しする予定ですので、ご都合のつく方はぜひご参加ください。
5月14日(木)20時~ 参加無料です。(参加申し込みは以下のQRコードから可能です)
2.具体例(シミュレーション)
前回のコラム でお送りしたエヌビディア(NVDA)のシミュレーション事例ですが、株価が堅調に推移しているため、現在は『利益を待つ』静観の状態です。オプション取引は、このように『何もしない時間』も収益に変えられる点が大きな魅力です。
ご参考まで、前回コラムでお送りした内容は以下(抜粋)↓
・オプション種別:プット
・期日:2026年5月15日(4月14日から31日間)
・権利行使価格と売買区別:170ドルで売り、165ドルで買い(どちらもプット)
・取引形態:ブル・プット・スプレッド
・最大リスクの目安:500ドルから受取プレミアムを差し引いた金額
※170ドルと165ドルの権利行使価格差5ドル × 100株分
※ウィブル証券におけるスプレッド取引機能の活用を前提
・計算上の単純年率換算リターン:年率73%
※4月14日の終値および当時のオプション価格を基準にした試算
仮に株価が4月30日時点から1割程度下落し、180ドル前後まで調整する場面があれば、満期までの日数、インプライド・ボラティリティ、170ドルの権利行使価格までの距離を踏まえ、ポジション管理の考え方を確認する局面になります。
また、オプション取引の証拠金については、ウィブル証券が提供するMoneybull の機能を活用し、米ドル金利を受け取ることで、全体の収益機会を補完する考え方もあります。
ドル円為替市場では、日本当局による円買い介入とみられる動きもあり、ボラティリティが上昇しました。
米ドル金利を受け取れることは、円高局面で保有ドルに含み損が生じた場合でも、心理的な負担を一定程度和らげる効果が期待できます。
1-3月期の企業決算が概ね出揃いましたので、銘柄によっては、5月のメジャーなオプション満期日である5月15日のみならず、6月のメジャーな満期日である6月19日を活用する選択肢が増えてきました。
RTX(RTX:旧レイセオン)やロッキード・マーチン(LMT)をはじめとする防衛関連株は、株価が素直に買われなかった銘柄群の一例です。こうした銘柄群は、プットオプションを活用した、コツコツ安定投資の業種分散をする際の対象候補の一つとなりえます。
(4月21日には、テレビ東京Newsモーニングサテライトにて、志村式ABCD分散投資の考え方 についてお話ししてきました)
ウィブル証券のスプレッド取引機能を活用することで、従来であれば手掛けにくかった値嵩株についてもオプション取引を少額の資金で行える環境になりました。
ぜひ、業種分散のほか、投資手法の分散についても、意識されると良いタイミングであるとみています。
それでは、良い投資を!
志村暢彦