前回のコラム掲載以降、株式市場は大きく動揺しています。
3月中旬に一旦の底を形成したとみられる中、トランプ氏による、相互関税導入の強硬策を受け、株式市場がNoを突きつけ、株価は大幅下落。
売りが売りを呼び込んだ結果、S&P500種株価指数は5000を割り込み、2月19日に付けた日中高値から、4月7日の日中安値まで最大で21%強、下落する展開となりました。
その後、トランプ氏による相互関税適用の90日間の一時停止発表を受け、株価は大きく反発。
米国時間4月10日時点で、S&P500は、年初来で10.4%の下落幅となっています。
トランプ氏に振り回された皆様、お疲れ様でした。
トランプ氏が、2月初に国民に多少の痛み云々を言い出したのがターニングポイントというのは、前回コラムでも記載しましたが、
1月末を100としたときの、マグニフィセント7の直近価格(4月10日引け)は以下のとおりです。

この間、トランプ氏は何かを見誤っていたのでしょうか?
見方や角度を変えれば、色々な意見が出ると思いますが、日本における投資家の視点でいうと、トランプ氏は、一見して、策士策に溺れるかのように、「独り相撲」をとっていたように見られます。
彼が、2月初に発表したように、「大きな目的のための多少の痛み」を国民に課すつもりが、国民にとっては想定以上の「激しい痛み」となることが見透かされてしまったという側面もあるでしょう。
アメリカ中部のニュースに疎い層には「相互関税によって海外各国は苦しみ、自分たちは利する」ということで、理解(誤認識)を得ていたというか、信じ込ませていたところ、さすがに多くの人に気づかれ、「行き過ぎた相互関税で苦しむのは、長期的には米国民」であることが露呈した感じにも見えます。
トランプ氏が何かを見誤っていたとしたら、それは、思った以上に株価が反応(下落)し、国民が動揺し、政権内にも亀裂が入り始めたことかもしれません。
ただ、10日に米議会下院は、減税の延長などを盛り込んだ予算決議案を、薄氷ながらも賛成多数で可決。また、先物市場が織り込む今年の利下げ回数は4回(合計1%)まで拡大。
ただ、この間、トランプ政権の成果に繋がる、利下げによる国債の利払い費抑制と、予算通過について進展を見せつつ、またグローバル企業が米国内に工場を持つこと(リショアリング)に対する検討が拡大する状況となっています。
この成果を得るために、株価が犠牲になっていますが、それもある意味、当初目論見通り、意図的と言える可能性があります。
トランプ氏からすれば、財政や金融政策によって「株価を刺激する(上昇させる)」ことは後からでもできるし、まずは前政権の責として、株価を調整させることにも意義があると思っていた節も。
実際、トランプ2.0の誕生が見えた、昨年11月5日の株価を100としたときの直近価格は以下のとおりで、1月末からの株価下落幅の大きいテスラも、11月5日来では、横ばいと言えます。


(出所:Bloombergを基に作成)
こうした、株価調整の余地(バッファ)を踏まえ、トランプ2.0のトリレンマ(3つの事象を同時に満たすことはできず、何かは犠牲になる)が意識された可能性も感じさせる内容です。
つまり、政権発足当初の今、「国債利払い費削減」と「議会対策(予算通過)」を取り、「景気」を犠牲にする構図を作られたようにも見えます。
もちろん、結果論でもあるでしょうし、真相・真意は闇の中ですが、日本の投資家として、ここから我々は何を学び、将来への投資についてどう活かしていくと良いのか、それを考え実践することに価値があると考えます。
結論としては、トランプ政権の運営次第で株価の底値が不確実になる状況となっており、私も含め多くの人が当初想定したよりも、株価の短期的な下落速度が速かった一方で、次の事実については全く変わっていません。
・資産形成は、「安く買って高く売る」だけに頼る必要はない
・オプション取引は、現物株の保有リスク(株価変動の影響)を低下させることにも有効
(ハイリスク・ハイリターンを狙うためのものだけではない)
現物株を対象とした、ターゲット・バイイング戦略(十分な現金を用意して、株価が下げたら買い、目標レベルまで下げなくとも現金収入を手に入れる)や、カバードコール戦略(現物株を保有したうえで、株価が上げたら売り、上げなくとも現金収入を手に入れる)については、横ばい相場や適度な下落相場であっても、堅実な成果を期待できます。
今、年初来の株価はマイナス領域にあり、コロナ禍のような株価のV字回復は想定し難い状況となっていますが、株価の変動幅が高い、現在のような相場展開では、ターゲット・バイイング戦略は効果を発揮しやすいです。
また、安く買って高く売りたい投資家にとっても、「底値は分からない(トランプ政権次第で移ろいやすい)けれど、中長期で見ると割安」といえる銘柄が増えていて、普段は躊躇しやすい値嵩株にも手が出しやすい環境となっています。
なぜ、そう考えるのか。ここからもう少し、投資関連のデータを見ていきます。
まず、CNNが発表する恐怖貪欲指数は、4月8日に3まで低下。歴史的に見て、この水準で長くとどまっていたことはありません。

(出所:CNN)
次に、S&P500の変動幅を示すVIX指数について、先物市場が織り込んでいる将来の値は、以下のとおり。

(出所:CBOEを基に作成)
期間が延びるにしたがって、変動幅が低下する状況です。通常は期間が延びるに従って、不確実性が増すものなので、その経済原理とは真逆の状況となっています。メディアでもあまり語られませんが、これはとても重要で、投資家としては認識しておくべき事象です。
株価を巡る状況はトランプ氏による発言如何で大きく変わりますが、変動幅自体については、時間が経過するにつれて落ち着いていくと、市場は想定しています。
仮に、足元の変動幅が拡大したとしても、先に行くにしたがって変動幅が低下する形自体は崩れにくいと想定されます。
(現在は「今日はトランプ氏からの驚く発言が無いことが、サプライズニュースだ」と言われるくらいの異常な事態ですが、ずっとこの状況が続くわけではありません)
ということで、投資家目線で、冷静な判断と、惑わされずに自分の軸となる投資手法を貫くことが重要となる局面にいます。(今、求められるのは再現性のある投資の実践を試みることです)
経験のある投資家であれば、「分散投資」を心掛け、「銘柄」と「投資戦略」、「投資手法」を分散し、リターンを計算して狙う(計算以上の結果を狙って深追いしすぎず適宜利益確定させる)のに適している状況とみて、動くことをお勧めします。
経験の乏しい投資家(初級者)であれば、やったことのない投資に飛び込むタイミングとは言い難いですが、ただ、万一全額損失となったとしても支障のない金額に限定するのであれば、大方の投資家の逆を行く(皆が売りだと思っていたら買い向かい、皆が買いだと思ったら売っていく)投資を意識されると、大きな学びを得られる局面であるとも言えます。
投資は、「経験」 のほか「投資金額」「投資目的」「投資期間」によって、最適な構成が異なりますし、いつ買いか、いつ売りかの最適タイミングは人それぞれです。
加えて、何が最適であったかは、あくまで結果論であり、将来の手法改善のために振り返ることはあっても、最適であることを狙って、ピタッと実践しつづけることは不可能です。誰であっても。
ただ、日本では、「安く買って高く売る」投資が一般的なので、ボラティリティ(変動幅)が高い状況が悪と捉えられがちですが、私からすると高いボラティリティは、絶好の投資タイミングです。
前回のコラムでお伝えしたマグ7銘柄群は、長期的な割安感が拡大した状況にあります。ターゲット・バイイング戦略、カバードコール戦略はもちろんのこと、長期の買い持ち(分散投資)であっても、成果を上げるための投資機会として見ていくと、「今すべきこと」がクリアになるのではないでしょうか。
初級者向け・中級者向け、共にセミナー が随時開催されていますので、活用すると、スピードアップを図れるかもしれません。
私が解説する次回セミナーは4月23日に予定されていますので、興味ある方はこちら からご登録ください。
先日は、ウィブル証券からのご紹介で、レバレッジをかけたアクティブETFの組成企業の経営者とミーティングをして参りましたので、どこかで内容を披露していきたいとも思っています。
良い投資を
志村暢彦
追伸
以下でも、たまに情報発信していきます。
NOTE
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